「明星」の成功は多くの才能を引き寄せた。若き日の北原白秋や吉井勇ら、時代の先端を走る文学者たちが新詩社に集結する。しかし、隆盛は長くは続かなかった。門下生たちの台頭と文壇の趨勢が自然主義文学へと傾く中、「明星」の部数は激減。出版業界の構造変化に乗り遅れた鉄幹は、深刻な経済的困窮に直面することになる。
一家の生計を支えるため、与謝野晶子は怒涛の執筆活動を展開した。多作ゆえの批判に晒されながらも、ペン一本で家族と夫を養い続ける晶子の姿は、当時の女性としては異例のタフネスであった。一方で、文壇での地位を失い自信を打ち砕かれた鉄幹は深い鬱状態に陥り、一門の人間関係にも亀裂が生じていく。