今でこそ多くの人々の心を救う存在となった文福だが、その生い立ちは決して恵まれたものではなかった。幼少期に保健所に持ち込まれ、殺処分を待つだけの保護犬だったのだ。絶望の淵にあった文福を引き取り、第二の人生を提示したのが、社会福祉法人絆会が運営する特別養護老人ホーム さくらの里山科である。
さくらの里山科は、全国的にも珍しい「愛犬や愛猫と一緒に入居できる特別養護老人ホーム」だ。施設長の若山三千彦氏は、保護犬や保護猫を積極的に受け入れ、施設内で入居者とともに暮らす環境を整えてきた。人間への不信感を抱いていたはずの保護犬・文福は、温かなケアを受けるなかで心の傷を癒やし、いつしか入居者の変化を誰よりも敏感に察知する稀有な才能を開花させていった。