ハリウッドアニメの日本語吹き替えといえば、プロの声優が固めるのがかつての王道だった。しかし、笑福亭鶴瓶が主役のグルー役に抜擢されたことで、その常識は鮮やかに覆された。アフレコ現場でのエピソードを明かすスタッフによれば、鶴瓶の役作りは「台本通りに読むこと」ではなく、「グルーというキャラクターに自身の人間性を染み込ませること」から始まったという。
マイクの前に立つ鶴瓶は、画面の中のグルーの口の動きに完璧に合わせつつも、あの独特の関西弁のニュアンスや間合いを一切殺さなかった。吹き替えキャスト陣との掛け合いでも、台本にはない絶妙なアドリブや呼吸感が作品にグルーヴを生み出している。原語版のスティーヴ・カレルが演じるGruとは一味違う、人間くさくて情に厚い「日本のグルー」は、まさに鶴瓶自身の温かい人柄と妥協なき演技のこだわりから生まれた傑作なのだ。