近年のメンズコスメ・グルーミング産業は、劇的な構造変化を遂げている。かつて男性向け化粧品といえばシェービングフォームやアフターシェーブローションが主流であったが、現在ではスキンケアやメイクアップ、そしてヘアケア領域に至るまで市場規模が急速に拡大した。特に美容意識の高いZ世代からビジネスの最前線で活躍する30〜40代のミドル層まで、身だしなみを洗練させる投資を惜しまない消費行動が定着しつつある。
こうした潮流を決定づけた要因の一つが、SNSや動画プラットフォームの普及だ。特にYouTubeでは、トップサロンのスタイリストたちがヘアスタイリングの解説動画を相次いで投稿し、瞬く間に数百万回再生を記録する現象が常態化している。また、美容サロン予約サイトのHot Pepper Beautyにおけるメンズ検索ワードでも、「スタイリングオイル」や「質感調整」といったキーワードが上位にランクインするようになった。
市場の拡大に伴い、業界大手の株式会社資生堂をはじめとする老舗メーカーも男性特有の髪質や頭皮環境に着目した専用ラインを強化している。さらに、トレンドを牽引する人気メンズサロンのLIPPSが手がけるプロダクトラインは、サロン現場の生の声を反映した操作性の高さから爆発的な支持を獲得。ヘアスタイルで自己表現を楽しむ男性たちにとって、オイルは日常に不可欠なギアとなった。