教育テレビの画面越しに「よんだ?」と呼びかける親しみやすい笑顔。子どもだけでなく親世代の心まで掴んで放さないオフロスキーのシュールなユーモアは、小林顕作という表現者の代名詞となった。しかし、その卓越した身体能力と独特の間(ま)は、元を正せば劇団「宇宙旅人」や「ダンス人間」などで培われた本格的な舞台表現の賜物である。
本格派の時代劇初挑戦となった作品で彼が見せた変貌ぶりは、視聴者の予想を遥かに超えていた。画面に映し出されたのは、かつてのコミカルな面影を完全に消し去り、信仰と合戦の狭間で葛藤する武士の業であった。このあまりの落差こそが、彼の圧倒的な演技力を広く世に知らしめる最大のトリガーとなったのだ。