事件の引き金となったのは、単なる手違いでは済まされない悪質な偽装工作だった。地鶏の産地偽装に始まり、牛肉の個体識別番号の改ざん、さらには賞味期限が切れた洋菓子のラベル貼り替えなど、不正は多岐にわたっていた。農林水産省や自治体の立ち入り検査によって明らかになった事実は、日本中の消費者を絶句させた。
だが、真の絶望は偽装問題だけにとどまらなかった。追及の過程で浮上したのが、客が残した料理を別の客へ再提供する「食べ残しの使い回し」問題である。刺身や天ぷら、煮物に至るまで、一度客席に出された高級食材が厨房に回収され、再び別の皿へと盛り付けられていたという事実は、衛生観念の欠如のみならず、料亭としての誇りの完全な崩壊を意味していた。
「食品表示偽装・使い回し問題」の二重の衝撃は、同店が誇っていた「伝統とおもてなし」の価値を根底から粉砕した。安全で清潔な食を提供するという外食産業の根本的な前提を自ら踏みにじった罪はあまりにも重く、社会からの信用は一夜にして完全に失墜したのである。