「飲むだけでお腹のものが一気に排出された」という体験談がネット上に溢れていますが、この現象には明確な生化学的理由が存在します。その鍵を握るのが、生理食塩水(0.9パーセント)と同等の浸透圧です。
通常、私たちが口にする真水は胃や小腸で素早く血液中に吸収されます。しかし、人間の体液とほぼ同じ塩分濃度に調整したぬるま湯を大量に摂取すると、腸管壁を介した水分の移動(浸透圧勾配)が起きにくくなります。その結果、水分が体内に吸収されないまま重力と腸の蠕動運動によって大腸へと直行し、溜まっていた便やガスを一気に押し流すのです。
つまり、塩水による便秘解消の即効性の理由は、漢方薬や下剤のように腸を刺激したり便を軟らかくしたりする作用ではなく、物理的な水圧と浸透圧を利用した「強制フラッシュ」に過ぎません。腸内が一時的に空っぽになる爽快感からデトックスと誤認されがちですが、医学的には短時間の人工的な下痢を引き起こしている状態といえます。