加藤の権力基盤を語る上で欠かせないのが、三菱財閥との濃密な関係だ。三菱創業者の岩崎弥太郎の長女・春路と結婚した加藤は、政敵から「三菱の番頭」と激しく揶揄された。実際、彼が率いた憲政会の党勢拡大や選挙戦の裏には、三菱からの潤沢な資金援助が存在していたとされる。
政党が巨大資本と結びつく構図は、激しい金権腐敗批判を招いた。しかし皮肉にも、閥族や官僚閥に対抗しうる強固な政党組織を作り上げるためには、強大な経済的後ろ盾が必要不可欠だった。加藤は財閥の力を戦略的に利用しながら、旧来の藩閥政治家たちが握っていた権力を政党へと奪還していく戦いを繰り広げた。