流出の総額は約90億円。地方都市に拠点を置く企業からそれだけのキャッシュが吸い上げられた事実は、業界全体を震撼させた。主犯格が用いた手口は、巧妙を極めた。自らが管理する架空の口座や海外のペーパーカンパニーを経由させ、送金手続きを正規の取引に見せかけてカモフラージュしたのだ。送金先は主にシンガポールや香港といった国際金融センターの金融機関。捜査当局の追跡を逃れるため、複数の法人口座を複雑に迂回させるというプロ顔負けの手法が導入されていた。手元資金の流出を社内監査で見抜けなかった要因は、長年にわたり築き上げられた「ワンマン体制」と「チェック機構の空洞化」にある。未公開の初期捜査資料によれば、決裁権限が特定の人物に集中していたため、銀行側も不正な送金指示を疑うことなく処理し続けていたという。
90億円はどこへ消滅したのか?佐川印刷巨額横領事件の衝撃真相
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