訪日客数の量的拡大を最優先してきた政策の歪みは、インフラの限界という形で日本各地を直撃しています。いわゆるオーバーツーリズムの影響は、観光客と地元住民の共存を著しく困難にしています。
京都市内では、主要観光地へ向かうバス停に長蛇の列ができ、高齢者や通学児童が日常の移動手段を奪われる事例が相次ぎました。また、飲食店や商業施設でのゴミのポイ捨て、トイレの不適切な使用による清掃コストの激増も、自治体財政や店舗経営を圧迫しています。
観光公害がもたらす最大の被害は、地域コミュニティの疲弊と住民の流出です。「静かに暮らせる街ではなくなった」として長年住み続けた土地を離れる住民が増加し、地域の伝統行事や自治活動が維持できなくなる危機に直面している自治体も少なくありません。