現地に立ったとき、最初に確認すべきポイントは至ってシンプルだ。入り口に「鳥居」がある場所は神社であり、境界を刻む門(山門や仁王門)がある場所はお寺である。神社における鳥居は、神の領域と人間が暮らす世俗の領域を分ける聖なる結界を意味している。一方でお寺の門は、寺院という修行と信仰の場への入口として機能してきた。
もう一つの決定的なビジュアルの違いは、境内に安置された「尊像」の有無だ。お寺には如来や菩薩、明王といった精巧な仏像が祀られており、参拝者はその姿を眼前にして祈りを捧げる。対照的に、神社の本殿奥には御神体(鏡や剣、あるいは山そのもの)が隠されており、参拝者が直接その姿を見ることはない。見えない神を敬うのが神社であり、姿ある仏に向き合うのがお寺という見分け方は、現場での最も確実な識別法となる。