『凪のお暇』は、原作漫画と実写ドラマ版(2019年TBS系)で基本的なメッセージ性を共有しながらも、結末に至るディテールや物語の焦点にいくつかの相違点が存在します。
ドラマ版では、主演の黒木華さんをはじめとするキャスト陣の熱演によって、エレガンスパレスの住人たちとの温かい別れとアパート取り壊しが象徴的に描かれました。コインランドリー店を継ぐという目標を見出した凪が、慎二と緑の豊かな坂道で「バイバイ」と笑顔で別れるシーンは、夏の終わりを感じさせる爽快なフィナーレとして語り継がれています。
対してコナリミサト氏による原作漫画の最終回では、凪と母親(みすず)との長年にわたる精神的な確執や、慎二が抱える崩壊寸前の家族問題へのアプローチがより重厚に描かれました。親からの精神的自立という毒親問題の解消プロセスを徹底的に掘り下げた上で、凪が仕事と生きがいを自分の手で掴み取る姿が克明に描かれており、ドラマ版以上に人生の再建に重きを置いた構成となっています。