常勝軍団の伝統をいかに守り、どう壊すか。この難題に正面から向き合ったのが村田監督だった。自身も横浜高校野球部の捕手・主将として甲子園の土を踏み、渡辺元智氏の薫陶を直接受けた生粋のOBだ。だが、監督就任直後に突きつけられたのは、SNS時代の情報過多や球児たちの価値観の変化、そして全国的な高校野球の戦術的進化という現実だった。
古き良き「泥臭さ」や「粘り強さ」の重要性を理解しつつも、精神論だけに頼る旧来の手法からは躊躇なく脱却を図った。言葉一つひとつの選び方から、練習メニューの意図の開示まで、常に選手たちと同じ目線に立って語りかけるスタイルを確立。伝統の「横高魂」を形骸化させることなく、現代の若者に届く言葉へと再翻訳した功績は計り知れない。