社会学者の上野千鶴子氏は長年、近代家族の制度的拘束や制度的婚姻が孕む矛盾について痛烈な言及を続けてきた。伝統的な「血縁・性愛・経済の三位一体」としての家族像が解体されつつある現代において、友情結婚はその解体を象徴する最先端の社会現象と言える。
国立社会保障・人口問題研究所が公表している「出生動向基本調査」や、厚生労働省の「人口動態統計」を読み解くと、未婚化や晩婚化の進行と同時に、結婚に求める要素の多様化が明白に読み取れる。経済的な安定、孤独の解消、社会的な信用の獲得といった実利的なニーズが、ロマンチック・ラブ・イデオロギー(恋愛結婚至上主義)を凌駕し始めているのだ。制度としての結婚を利用しながらも、中身を自由につくり替える試みとして、友情結婚は新たなフェーズに入っている。