1990年代半ば、X JAPANは世界進出を見据えた多忙を極めていた。バンドのリーダーであるYOSHIKIとの妥協なき楽曲制作、そして実家族による個人事務所の無断資金流出などの金銭トラブルが重なり、Toshlの精神状態はすでに限界を超えていた。その孤独な心の隙間にすべり込んだのが、1993年の主演ロックオペラで共演した元女優の守谷香だった。
優しさと癒やしを演じる守谷香によって導かれた先が、主宰者MASAYA(本名・倉渕透)が率いる自己啓発セミナー団体「ホーム・オブ・ハート」であった。「癒やし」や「自然」を掲げた音楽イベントやセミナーへの参加を通じて、Toshlは徐々にMASAYAの教義に取り込まれていく。自らの音楽キャリアや人間関係を全否定され、暴言や体罰による恐怖支配によって自我を解体されるプロセスが、暗闇の中で着々と進行していった。