近年の彼を語る上で外せないのが、シリアスとコメディの境界線を粉砕する変幻自在な表現力だ。一見すると完璧な紳士や冷静沈着な男を演じながら、次の瞬間には怪しい狂気やシュールな笑いを滑り込ませてくる。この独特のギャップに、視聴者はまんまと中毒になってしまう。
『きのう何食べた?』で見せた小日向大輔役は、その最たる例だろう。恋人を愛するあまり見せる過剰で独特な情熱、大真面目に放たれるコミカルなセリフ回しは、作品全体に強烈なスパイスを加えた。ただ面白おかしく演じるのではない。キャラクターの根底にある愛おしさや切なさを確実に匂わせるからこそ、視聴者の心に深く刺さるのだ。