映像コンテンツの消費スピードが劇的に加速している。Netflixでは世界規模のアニメ配信が日常となり、YouTubeでは無数のクリエイターが超高画質なレビュー動画を秒単位で投稿し続ける。すべてがデジタルで完結する現代において、わざわざ現地を訪れる旅の価値とは何だろうか。
ネット上の画像を見るだけなら一瞬だ。だが、現地で風の音を聞き、鳥の鳴き声に耳を澄ませながら、農道に佇む赤と白と青の錆びた巨体を肉眼で捉えたときのインパクトは、モニター越しでは決して味わえない。いわゆるB級スポットや珍スポットと呼ばれる場所が持つ引力は、過剰に演出されたエンターテインメントに疲れた現代人の心を強烈に揺さぶる。
誰かが切り取ったデジタルデータではなく、自分自身の五感で出会うユーモア。それこそが、SNS時代の旅行者がわざわざ福島へと車を走らせる理由だ。