「ブラック企業」という単語が日本社会に定着した経緯を振り返ると、2000年代後半にネット掲示板の投稿から大きな話題を集め、後に映像化された映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の存在が浮かび上がる。当時は一部のネットカルチャーや極端な体験談として処理されがちだったが、現実はそれ以上に深刻な広がりを見せていた。
NPO法人POSSEの代表を務める今野晴貴氏をはじめとする有識者が展開した社会派ジャーナリズムは、若者を使い捨てにする構造を客観的な調査で浮き彫りにした。かつて若者の悲鳴として消費されていたテーマは、いまや労働法の制定や行政処分を動かすほどの社会的アジェンダへと変貌を遂げている。