読売ジャイアンツの黄金期を牽引し、前人未到の通算868本塁打世界記録を打ち立てた現役時代。その過酷な日々に寄り添い続けたのが、冨士子夫人であった。精神的プレッシャーから食事が喉を通らない夜であっても、静かに温かい料理を用意し、夫の身体を第一に気遣う日々。彼女の配慮は徹底しており、試合に敗れた日は家中に静寂を保ち、王氏が自らのバッティングと向き合える空間を作り出した。
2001年に病のため帰らぬ人となった冨士子夫人。その訃報は球界全体に深い悲しみをもたらした。プロ野球業界の歴史においても、彼女の存在なしに「世界の王」の偉業は語れない。NHKなどのアーカイブ映像や当時の人物伝記・ドキュメンタリー番組でも、夫人の献身的な姿は多くのファンの記憶に強く刻まれている。