スーパーの精肉売り場やレストランのメニュー表を開くと、常にヒレ肉の方が高値で設定されていることに気づく。この価格差の根底にあるのは、単純な需要と供給のバランスだ。1頭の豚(体重大約110kg)から取れる豚ロースが約10〜12kgであるのに対し、豚ヒレはわずか2kg前後。全体の2%にも満たない希少価値が、市場価格に直接反映されている。
だが、価格の高さが必ずしも「美味しさの絶対評価」を意味するわけではない。脂の旨味とコクを楽しむ文化が根強い日本では、あえて脂乗りの良い上質なロースを指名買いするマニアも多い。市場の格付けに惑わされず、自らの舌が求める味わいを見極めることこそ、真の肉好きと言えるだろう。