現場の取材や当事者へのヒアリングを進めると、特に20代後半から30代後半にかけてのビジネスパーソンにおいて、比較によるメンタルの消耗が顕著に表れています。大手人材紹介会社や産業カウンセラーの相談現場では、かつてのような単純な「出世争い」ではなく、「同期や同年代と自分との見えない格差」に脅かされるケースが急増しています。
「新卒時は横一線だったはずの同僚が、マネジメント職に抜擢されたり海外拠点で実績を上げたりするニュースを社内報で目にするたび、自分の仕事が無意味に思えて足がすくむ」――都内のIT企業に勤務する30代男性の手記には、職場で同期と比べる癖が引き起こす激しい焦りが生々しく記されています。周囲が順調にキャリアの階段を上っているように映る一方で、地道な業務の連続に埋没する自身を「落伍者」のように錯覚してしまうのです。
さらにこの苦悩を加速させているのが、手のひらの中にあるデジタル空間です。ソーシャルメディア上で流れてくる投稿は、他者が入念に選別し演出を施した「人生のベストシーン」に過ぎません。それにもかかわらず、疲労困憊してベッドに横たわる自分の現実と無意識に照合してしまい、周りと比べて落ち込む原因を自ら作り出しています。画面を眺めるほどに孤独が深まる悪循環を断ち切るには、意図的に情報流入を遮断するSNS疲れの対処法が不可欠なセーフティネットとなります。