なぜ今年の飛散時期や総量に変化が生じるのか。その答えは前年夏の気候に隠されている。気象庁が記録した昨夏の猛暑と豊富な日照時間は、スギの雄花(おばな)の形成を大いに促進させた。植物生理学の観点から見れば、十分な光合成をおこなった木々は花芽を限界まで蓄え込む。
さらに冬の暖冬傾向が休眠打破のタイミングを狂わせる。一定期間の冷え込みを経て暖かさを感知した雄花が一斉に開花準備に入るため、ひとたび春の南風が吹けば、暴風のような飛散が列島を襲う。気候変動がもたらすこうした気象のアンバランスさが、私たちの花粉症の症状をより一層深刻化させているのだ。