だが、このブームには暗い側面もある。ネット上の「スカッとする話」に慣れ親しんだ人々が、現実世界でも同様の劇的な解決や「悪者への徹底的な処罰」を求め始める現象だ。SNSでの炎上騒動や個人情報の特定、いわゆる「デジタル私刑」は、まさにこの心理の延長線上にある。
現実のトラブルは、ネットのまとめ記事のように白黒はっきりつくものばかりではない。双方に言い分があり、グレーな部分が大半を占める。にもかかわらず、「悪者には何をしてもいい」「徹底的に叩きのめしてスカッとしたい」という歪んだ正義感が暴走すれば、それは新たな加害を生むだけだ。エンタメとしてのカタルシスと、現実のモラルは明確に切り離さなければならない。