世界的なポッドキャストや動画コンテンツにおけるトゥルー・クライム(実録犯罪)ジャンルの爆発的ヒットは、事件報道のあり方を根本から変えた。かつての社会部記者が足で稼ぐ地道な取材報道から、個人の感情やビジュアルのインパクトを即座に収益化するデジタルメディアへの変容である。
この変化は、報道・ジャーナリズム業界に重大な倫理的踏み絵を迫っている。PV(ページビュー)やインプレッションの獲得を優先するあまり、被疑者の美貌を煽り立てるようなセンセーショナルな見出しが跳梁跋扈する現状は、報道の矜持を失いつつある証左かもしれない。真相の追求ではなく「どちらがバズるか」という市場原理が、ジャーナリズムの現場を侵食している。