異種間の交配自体は、決して完全な新現象ではない。近代進化論の祖であるチャールズ・ダーウィンもまた、種の境界線が私たちが考えるほど厳密ではない可能性を指摘していた。古くから知られるライガーやタイゴンのように、人間が作り出した環境下で異なる種が出会い、生殖機能を持つ(あるいは持たない)新たな個体が生まれるケースは観察されてきた。
しかし、現在起きている現象は人間の飼育場の中に留まらない。ナショナル ジオグラフィックのドキュメンタリーや現地調査が明らかにしてきたのは、地球温暖化に伴う生息域の変化によって生じた「野生下でのハイブリッド化」だ。北極の氷が融解したことでグリズリーとホッキョクグマの遭遇率が高まり、野生のピズリーが誕生している事例はその最たるものと言える。自然の偶然が織りなす交配は、従来の種分類学を根底から揺さぶり始めている。