イタリア・サンタアガタ・ボロニェーゼに拠点を置く高級車メーカーにとって、ブランドの伝統と格式は絶対だ。かつて、完璧な空気力学と静粛なエレガンスを追求して作られたマシンにLEDを巻きつけ、爆音マフラーを装着する行為は「本家に対する冒涜」として嫌悪の対象でしかなかった。
ところが風向きは大きく変わった。海外の有名オークションや自動車ドキュメンタリーが彼らを特集し、「日本特有の美意識が奇跡的に融合した現代のアウトロー・アート」と称賛し始めたのだ。伝統を守りたいメーカー側の困惑を余所に、世界中の若いファンは彼らの自由さに熱狂した。公式とストリート、正統と異端。この相容れない二つの価値観が火花を散らす緊張感こそが、彼らのブランド価値をより一層高める皮肉な結果を生んでいる。