名門製鉄メーカーが直面している本質的な課題は、政治問題だけではない。二酸化炭素を大量に排出する伝統的な高炉法から、鉄スクラップを電気で溶かす電炉法へのシフトという、産業構造そのものの地殻変動である。
かつて同社の心臓部であったペンシルベニア州の「エドガー・トムソン工場」に代表される高炉施設は、老朽化が進み、維持改修だけで年間数百億円規模の資金を食いつぶす。脱炭素の世界的圧力が強まる中、これらの巨大人造プラントをいかに段階的に削減し、環境負荷の少ない新技術へ置き換えるか。この技術的・資金的ハードルこそが、同社が単独での生き残りを断念し、パートナーを求めた最大の理由だった。