ゼロからの出航には、自らの理念を形にする強力なパートナーが必要不可欠だった。そこで引き合わされたのが、ハーバード・ビジネス・スクールを修了した若き新鋭、岩瀬大輔氏である。還暦間近の元大企業幹部と20代後半の気鋭のコンサルタントという異色のタッグは、生命保険業界に強烈なインパクトを与えた。
ライフネット生命保険株式会社の設立にあたり、二人が掲げた最大の旗印は「徹底した情報公開」と「シンプルな商品設計」である。保険料のうち、事故や病気の支払いに充てられる「純保険料」と、会社の経費に当たる「付加保険料」の内訳を日本で初めて全面公開した決断は、業界関係者から「正気の沙汰ではない」とまで言わしめた。しかし、この圧倒的な透明性こそが、デジタル時代の消費者の強い共感と信頼を獲得する最大の力となったのである。