日本の観相史において伝説的な存在として知られるのが、江戸時代中期の観相家・水野南北だ。若き日は荒んだ生活を送り、自らの死相を告げられたことをきっかけに出家を志した南北は、顔の造形以上に「節制」と「食生活」が人の運命を根本から塗り替えることを突き止めた。
彼が著した『南北相法』の核心は、どれほど優れた骨格を持って生まれても、暴飲暴食を重ねれば顔つきは濁り、運気は失墜するという点にある。逆に、控えめで腹八分目を守る滋味深い食生活を続ければ、顔全体の肌色に透明感が生まれ、凶相であっても運を開くことができると説く。現代の最新健康科学や美容学が証明しつつある腸内環境と肌ツヤの関係を、数百年前の日本で完全に見抜いていた彼の洞察は、今なお深く傾聴するに値する。