日本の料理界において、国民的料理家である栗原はるみ氏が築き上げた「温かみのある家庭の味」と「暮らしを彩るおもてなしの心」は、一つの到達点として君臨している。前田氏自身もその温もりあふれる世界観に深い敬意を払いながら、そこに自身の強力な武器であるロジックを融合させる試みを重ねてきた。
「感情と科学は対立するものではない」――彼女のスタイルは、誰もが愛する伝統的なおいしさや情緒を、科学の精度によって「誰でも確実に作れるもの」へと引き上げる作業だ。エモさとロジックの高度な掛け合わせこそが、時代を超えて人々を惹きつける最大の要因だろう。