「騎手を落とした馬は、一体何のために走り続けるのか?」——競馬ファンならずとも一度は抱く素朴な疑問こそが、映画『空馬』の核心をなすテーマとなっている。専門家によれば、馬が群れで走る習性を持つため他の馬を追いかけるのだという説が一般的だ。しかし、本作が描く空馬の姿は、単純な本能の暴走にとどまらない。
山崎監督は劇中で、馬が背負う「走るという宿命」と、それに人生を賭ける人間たちの生き様を鮮烈に重ね合わせる。鞍上の指示が消え去った瞬間、馬自らの意思でターフを駆け抜けているかのような奇跡の瞬間。映画は、単なるスポーツの枠組みを超えて、生き物が持つ純粋な闘争心や絆の本質を観客に問いかける。