灯籠に火を灯す根源的な思想は、古代にまで遡る。奈良の大仏を造営した聖武天皇の時代、国家の安寧と万民の幸せを祈る万灯供養の文化が芽生えた。広大な敷地を誇る東大寺や、古木が鬱蒼と茂る春日大社では、今なおその古式の伝統が息づいている。
また、平安時代に弘法大師(空海)が開いた高野山真言宗の聖地においても、灯火は即身成仏や真理の光を象徴する重要な意味を担ってきた。何千何万という灯火が連なる光景は、人間一人ひとりの小さな命が寄り添い合い、大きな光明を形作る仏教思想の具現化に他ならない。仏像の穏やかな表情が揺らめく灯火に照らし出される様は、まさに時空を超えた美術工芸の極致と言えるだろう。