理論哲学の議論だけではない。実験室の最前線でも革新的な発見が相次いでいる。ドイツの名門・マックス・プランク研究所における生物学の研究チームは、細胞同士がどのようにコミュニケーションを取り、自発的に集団としての秩序を形成するのかを分子レベルで解明しつつある。
単細胞生物が集まって多細胞生物へと進化する境界線で、いかにして「個」が統合され、高次のオーガニズムへと変容するのか。彼らの実験データは、生命が単なる化学反応の偶然の産物ではなく、環境の揺らぎに応答して自己組織化する高度な知性を持ったシステムであることを証明している。物理学と生物学が交差するこのフロンティアから、生命観のコペルニクス的転換が起きようとしている。