「100均の滑り止めシートを敷いておけば、大きな地震が来ても家具や家電が倒れないのでは?」という言説がネット上で散見されますが、これには重大な誤解とリスクが潜んでいます。
結論から申し上げると、通常の滑り止めシートを「大型家具や高重心家電の転倒防止(耐震対策)」として流用することは極めて危険です。建築防災および耐震工学の観点において、「横滑りを防ぐ摩擦力」と「転倒の回転モーメントに耐えうる粘着・引張強度」はまったく別物だからです。
セリアの滑り止めシートは、水平方向の軽度な振動(人が歩く振動、引き出しの開閉、弱〜中程度の揺れ)に対する静止摩擦係数を高める設計になっています。しかし、震度5強を超えるような縦揺れや大きな横揺れが発生した場合、設置面が一瞬浮き上がることで摩擦抵抗はゼロになります。背の高い本棚やテレビ、重い電子レンジなどは、シートごとスライドして倒壊する危険性が拭えません。
命に関わる防災対策としては、国や自治体の防災指針で推奨されている「固定金具(L字金具)」や「突っ張り棒」、そして厚みのある「専用耐震粘着ジェルマット(厚さ5mm以上で衝撃吸収性に優れたウレタン系・スチレン系ポリマー)」を正しく使用してください。セリアのシートはあくまで「日常域のズレ・傷防止ツール」として捉えるのが、正しい安全管理の知識です。