日本放送協会の舵を取る稲葉延雄会長は、就任以来、組織のスリム化とデジタルシフトを最優先課題に掲げて構造改革を断行してきた。膨大な事業費や関連子会社の整理・統合を進め、時代に即した公共放送業としてのあり方を再定義する試みが続いている。
しかし、経営合理化の波は現場のカスタマーサポートにも波及している。オペレーターの人員配置の見直しやAIによる一次対応の導入が進む一方で、個別具体的な事情を抱える高齢者やデジタル操作に慣れていない層からの問い合わせは依然として電話へ集中する。業務の効率化と視聴者サービスの手厚さという双方の板挟みに、現場が苦悩している実情が浮かび上がる。