1994年に公開された『映画ドラえもん のび太と夢幻三剣士』もまた、異色のトラウマ作として異彩を放つ。夢と現実の境界線を曖昧にするストーリー展開の中で、主人公であるのび太とドラえもんが敵の剣士によって一度命を落とし、消滅するという衝撃の展開が盛り込まれた。白銀の剣士となったのび太が灰となって散るシーンの静けさは、子供心に生々しい死の恐怖を植え付けた。
さらに、この作品を巡ってはファンの間で様々な都市伝説が囁かれてきた。ラストシーンで現実世界に戻ったはずの学校がどこか異様な位置に建っている描写や、幻の作画回に関する噂など、作品が持つ不気味な余韻が都市伝説を生み出す土壌となった。本物と偽物の境界が溶け出していく心理的恐怖は、大人になって見返した際にも独特のゾクゾク感をもたらす。