「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は叶う」——この有名な教訓の背景には、絶望的な敗北の歴史がある。若き日のウォルト・ディズニーは、自ら生み出した人気キャラクター「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット」の権利を配給会社に騙し取られ、専属アニメーターのほとんどを引き抜かれるという壊滅的な打撃を受けた。
手元に残されたのは、失意と僅かな資金だけだった。しかし彼は立ち止まらなかった。失意の帰路、列車の中でひらめいたアイデアをもとに生まれたのが、世界初の全編シンクロナイズド音声付きアニメーション『蒸気船ウィリー』だ。
当時のアニメーション産業において、トーキー映画(音声付き映画)への参入は「無謀な賭け」と嘲笑された。だが、ウォルトは手元の資金をすべて投げ打ち、自ら声を吹き込んで完成させた。兄であるロイ・O・ディズニーが緻密な資金調達と経営面で支えなかったとすれば、この挑戦は途中で立ち消えていただろう。困難の只中で生まれた情熱の結晶が、後の巨大な奇跡を起こす第一歩となったのだ。