ネット上で過剰な侮蔑が吹き荒れる一方で、実社会における評価の揺り戻しも起きていた。その決定打となったのが、盧武鉉氏の青年時代をモデルに描かれた映画『弁護人』の大ヒットだ。1980年代の軍事政権下、人権派弁護士として不当な弾圧に立ち向かった姿を描いたこの作品は、1000万人以上の観客を動員。世論に強い感銘を与え、彼を「庶民の味方」「民主化の英雄」として再評価する機運を決定づけた。
しかし、この映画の成功はネット上のヘイト勢力をさらに刺激することになる。映画が提示した感動的な言説に対抗するかのように、イルベ側は「ノアラ」をはじめとする奇形的なコラージュをより一層激しく拡散させた。実在した指導者の多面的な功罪を議論するのではなく、映画による神格化とネットによる徹底的な悪魔化という、極端な二極化が現代韓国政治史の言論空間を分断していった。