トップである三木谷浩史氏の動向に、業界の注目が集まる。「守りに入る気は毛頭ない」。幹部会議の席上、力強く語られたというその言葉は、同氏が描く新戦略の核心を物語る。かつてモバイル事業への参入を「大謀略」と揶揄された時期もあったが、直近の決算数値とユーザー層の拡大は、創業者の執念が正しかったことを証明しつつある。
単なる通信回線の提供者にとどまらず、金融、決済、エンタメ、ロジスティクスをシームレスに繋ぎ直すこと。三木谷氏が目指すのは、個別の事業が単体で利益を生むだけでなく、相互に顧客を送り込む強固な環状構造の再構築だ。リスクを恐れずに巨額投資を断行した果てに待っていたのは、競合が容易には模倣できない強固な壁であった。