事件から15年が経過した2004年、事件をモチーフにした映画『コンクリート』(2004)が製作された。だが、この作品は劇場公開の直前から凄まじい逆風に晒されることになる。映画館への激しい抗議電話、ネット上での上映反対運動、劇場関係者への脅迫が相次ぎ、主要な映画館が次々と上映の中止を決定した。
映画産業はこの騒動によって、表現の自由と被害者感情の衝突という極めて重い課題に直面した。製作側は「少年の犯罪心理を検証し再発を防ぐための警鐘」と主張したが、実際の事件を娯楽や商業コンテンツとして消費することへの嫌悪感を払拭することはできなかった。自主上映という形で限定的に公開された同作をめぐる混乱は、実録犯罪を描く映画表現の限界と倫理的な責任を浮き彫りにした象徴的な事件だった。