現在のダイナミックな救急医療体制から想像するのは難しいかもしれないが、同院の原点は整形外科を専門とする単科の診療所であった。骨折や関節疾患、外傷治療において地域住民から深い信頼を得ていたクリニックが、なぜこれほど巨大な急性期医療の拠点へと脱皮したのか。その背景には、外傷患者を診る中で直面した「多発外傷や重症救急に対応できる医療機関の不足」という切実な現実があった。
整形外科で培われた精確なアプローチと迅速な手術技術をベースにしながら、脳神経外科、心臓血管外科、腹部外科、そして救急科を網羅する総合的な体制を急ピッチで整えていった。医療・福祉産業のあり方が問われる現代において、ニーズの変化に合わせて自らを柔軟に変革させてきた足跡は、地方医療のモデルケースとして高く評価されている。