2000年代後半、不良部員たちが野球を通じて更生し甲子園を目指すドラマ『ROOKIES』が大ヒットを記録した。熱血教師と傷だらけの球児たちが織りなす絆の物語は、多くの人々の涙を誘い、野球ブームを再燃させた。
しかし、フィクションの世界で描かれる「暴力からの脱却と美しき更生劇」は、現実の高校野球現場のリアルとは大きな乖離が存在する。現実の世界では、一度でも暴行事件や隠蔽工作が発覚すれば、ドラマのように熱意だけで即座に復帰が許されることはない。厳格な処分が下され、社会的な批判の矢面に立たされるのが冷徹な現実だ。
エンターテインメントが提示した「熱血による救済」という美談は、ともすれば現実の体罰やハラスメントを無意識に美化・正当化する危険性も孕んでいた。フィクションの光と、現場が抱える影の落差を冷静に捉える視点こそが、現代のスポーツ観戦者には求められている。