『鋼の錬金術師』で世界中の読者を魅了した荒川弘氏の真骨頂は、本作でも遺憾なく発揮されている。ハードボイルドな世界観の中に、クスリと笑わせる日常描写と、容赦のないサスペンスが同居する独特の語り口。王道少年漫画の熱量と、大人も唸らせる社会派ミステリーの深みが融合している。
緻密に計算されたコマ割りや、キャラクターの細かな表情の変化に仕込まれた伏線。何度も読み返すことで新たな発見があるプロット構成は、まさに荒川節の到達点と言える。ダークファンタジーとしての重厚さを保ちつつ、テンポの良さで読者を惹きつけて離さない。