編み物は一人で没頭するだけの時間にとどまらない。人と人との新しいつながりを生むメディアとしても機能している。都内を中心に増えている「編み物カフェ」や「クラフト・サロン」には、週末になると世代も職業も異なる人々が集まってくる。
面白いのは、そこが必ずしも賑やかな会話の場ではない点だ。お互いに黙々と手元を動かし、時折「その糸綺麗ですね」「ここ、どう編むんですか?」と短い言葉を交わす。この「無理に話さなくてもいい、居心地の良い沈黙」が、SNS疲れを感じている現代人にとって贅沢なサードプレイス(第三の居場所)となっている。オンライン上の仮想空間でも、アバター同士が集まって一緒に編み物をするVRサークルが賑わいを見せている。