「国際人」という言葉は、かつて「英語ができ、海外で活躍できる人」を指す憧れの称号だった。昭和・平成の日本では、国際人はすなわち「海外駐在員」「外交官」「通訳者」を意味し、帰国子女や留学経験者がその典型とされた。
しかし2026年現在、国際人に求められる資質は大きく変化している。英語力はもはや前提条件に過ぎず、むしろ重視されるのは以下の3点だと、国際機関の人事担当者やグローバル企業の採用責任者への取材から浮かび上がる。
- 自国の文脈で語れる力:日本について、歴史・政治・文化・社会課題を自分の言葉で説明できること。英語が流暢でも中身が空疎では相手にされない。
- 文化的自己相対化能力:自文化の常識を絶対視せず、相手の文化的前提を理解しながら対話できる能力。海外生活の長さよりも、多様な価値観と向き合った経験が問われる。
- 具体的な専門性:「国際」というだけで仕事になる時代は終わった。気候変動、AI規制、国際税務、国際人権法など、具体的な専門分野を持つことが不可欠である。
実際、ある国際機関の元職員はインタビューで「英語ができても、自国の文化や政治について質問された途端に黙ってしまう日本人が多い。国際人とは、自分の足場を持ったうえで他者と対話できる人のことだ」と語った。この言葉は、2026年の「国際人」観を端的に表している。