現役引退後、貴乃花光司は貴乃花部屋を興し、日本相撲協会の改革を目指して立ち上がった。理事選への出馬や角界の古い体質との激しい対立は、大きな社会問題となった。そして訪れた2018年の「貴乃花退職騒動」。角界を去るという苦渋の決断を下した彼の姿は、世間に大きな衝撃を与えた。
この一連の騒動の最中、母・藤田紀子や兄・花田虎上との連絡は完全に絶たれていたとされる。日本相撲協会という巨大な組織に一人で立ち向かう息子の姿を、母はただテレビ画面越しに見守るしかなかった。自身の信条を貫き通すために家族と距離を置いた息子の孤高の選択と、手に汗握る思いで無事を祈り続けた母の葛藤が、この騒動の裏には隠されていた。