伝統の重厚さとは対照的に、近年横浜のカレーシーンを席巻しているのが「スパイスカレー」のムーブメントである。特に野毛や関内、白楽といったディープな街の路地裏には、独自の配合でスパイスを立ち上げる若手シェフたちの挑戦的な店舗が相次いでオープンしている。従来の枠組みにとらわれず、和出汁やハーブ、フルーツ、さらには地元の新鮮な野菜を自在に組み合わせる手法は、食の感度が高い若年層を中心に絶大な支持を集める。
地元通の間で「秘密の隠れ家」として口コミが広がる穴場名店では、日替わりでスパイスの構成を変える限定メニューが連日完売となる現象も珍しくない。一見すると看板すら目立たない雑居ビルの2階や、夜はバーとして営業する店舗の昼間を借りた「間借り」スタイルの名店など、宝探しのような感覚で訪問できる点も、現在の激戦区・横浜が持つ熱量を象徴している。