二人の出会いは、彼らがまだ若き十代の暮れにさかのぼる。当時、志津香さんはタレントとしてテレビ番組や舞台などで活動しており、芸能界の端っこで芽が出ずにいた児嶋にとって、まさに高嶺の花のような存在だったという。
所属事務所であるプロダクション人力舎の養成所で腕を磨き、相方の渡部建とお笑いコンビを結成した頃、児嶋の生活は困窮を極めていた。すれ違いの構造を活用した独自のコントで脚光を浴びるまでには、実に長い年月を要したのだ。家賃の支払いや日々の食費にも事欠くような過酷な下積み時代、文句ひとつ言わずに傍らで支え続けたのが志津香さんだった。
「いつか売れて安心させてやりたい」——ブレイク前の若手芸人が抱く青臭いまでの決意を、彼女は優しく見守り続けた。15年という歳月を費やして育まれた絆は、一朝一夕では崩れない確固たる土台となったのである。