エクセルのPHONETIC関数(ふりがな抽出関数)は、一見すると「セル内の文字列をひらがなやカタカナに再翻訳してくれる関数」のように思われがちです。しかし、ここに根本的な勘違いがあります。マイクロソフトの公式技術仕様において、PHONETIC関数の本質は「文字そのものを変換する」ことではなく、「セル内部に不可視で保持されている“ふりがな情報(PhoneticInfo)”を呼び出す」ことだからです。
キーボードから直接日本語を手入力して確定した場合、OSのIME(日本語入力システム)が持っていた「打ち込んだカナの情報」がセルの隠しメタデータとして自動的に保存されます。そのため、手入力した文字列に対してPHONETIC関数を当てれば、保持されている読み情報を抽出できます。
ところが、社内基幹システムからエクスポートしたファイル、Webブラウザの管理画面からコピーしたテキスト、あるいはCSVファイルを開いたデータには、入力時のキーストローク履歴が存在しません。ふりがな情報が欠落したセルにPHONETIC関数を適用した場合、Excelは読み出せるデータがないため、「セルに表示されている文字列そのもの」を返すしかなくなるわけです。これが、ネット上で頻発する「カタカナ文字にPHONETIC関数をかけたのに、カタカナのまま変わらない」という現象の正体です。