テレビドラマでのブレイクに先駆けて、彼女の才能をいち早く見出したのは映画界の巨匠たちだった。1986年に公開された松竹大船撮影所50周年記念映画『キネマの天地』において、山田洋次監督に見出され、主人公の田中小春役に抜擢される。
昭和初期の映画作りに情熱を注ぐ人々を描いたこの大作で、天真爛漫な輝きと純真さをスクリーンいっぱいに放った。その鮮烈な演技が高く評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。一躍、邦画界期待の星として脚光を浴びることとなった。
巨匠の徹底した演技指導とフィルム撮影の現場で培われた映画的身体感覚は、今も彼女の表現の根底に息づいている。カメラの前にただ立つだけで空間の空気を変えてしまう重厚な存在感は、この原体験から生まれたものだ。